「女性にとっての美は力」サリーハンセン, ロサンゼルスタイムズ, 1934

サリーの大胆不敵で独立心旺盛な精神は、やがて家業の仕事を辞め、ダンサーになるという夢を追い求めるようになりました。

サリーはカリフォルニア州ハリウッドに移り、そこでダンサー、振付師として成功し、『ビバリー・スマイルズ』、『ペギー・アン』、『春が来た』などの作品に出演しました。

狂騒の1920年代半ば、彼女は美食家の夫、アドルフ・ハンセンとともにハリウッド社交界に定着し、サリー自身が設計したスペイン風の別荘で次々とスターたちとパーティーを催していました。

「あなたが欠点だと思えるものは、実際には全く欠点ではなく、それは個性です。あなた自身の個性であり、あなたの特徴（美点）でもあるのです。」サリーハンセン, ロサンゼルスタイムズ, 1934

金髪で小柄のファッショナブルなサリーは、時代を先駆けているスタイルと考え方で有名でした。

彼女は、LAタイムズ紙のコラム「Your Candid Mirror」で91本以上の記事を執筆し、生意気で率直な文面で強力な表現力を発揮しました。

「Your Candid Mirror 」は、美容のアドバイスやゴシップ・コラムだけでなく、強く、自立し、自力で人生を切り開いた女性の声を大きく伝えるものでした。時代をはるかに先取りした意見を持ち、美、ビジネス、人生において女性に大きな影響を与えました。

「私はいつも爪が割れていました。だから爪が欠けたり割れたりするのを防ぐ製品に興味を持ったのです」サリーハンセン,ボストングローブ, 1961

サリーはダンスでキャリアを積んだ後、夫と兄弟の助けを受け両親の化粧品事業を引き継ぎ、ハウス オブ ハリウッドとして生まれ変わらせビジネスとして成功させました。これが自立した女性の起業家、サリー・ハンセンの始まりである。サリーは、女性の美のために、手頃な価格で革新的な美容製品を作りたかったのです。本当に効果のある美を。

「巨大な工場を経営しながらも、彼女はクチナシのようなみずみずしい容姿をもっている」ロサンゼルスタイムズ, 1938

1940年代初めまでに、サリーはハウス オブ ハリウッドを大成功へ導き巨大な工場を併設するほどに成長しました。彼女は、化粧品ラインと並んで、血漿（けっしょう）を開発し、戦争に貢献したとも噂されました。

「美しさはマニキュア以上のもの。美は優しさ、寛容さ、品性であり、精神そのものです」

サリーの最初の結婚相手はユージン・ガンサーでした。彼は酒乱だったので、1929年サリーは「過度の酩酊」を理由に離婚を申請しました。

アドルフ・ハンセンとの2度目の結婚はとても幸せでした。しかし、その裏でサリーは独立のチャンスを切望し、1946年10月1日、サリーは再び離婚を申請しました。二人は円満に別れました。

サリーは、夫や友人たち、そして華やかなハリウッドでの生活から離れ、ニューヨークで自分の美容帝国を築く夢を追い求めることを選びました。

サリー・ハンセン　自ら作る美しさの起源

サリー・ハンセン社の誕生。ついにサリーは、ずっと夢見ていた会社を設立しました。自分の名前を冠した会社で、ロゴはサリー自身のサインを模したものでした。

その最初の2つの商標のうち、今では代表的な製品となった「ハード・アズ・ネイルズ」は、サリー・ハンセンがアメリカでナンバーワンのネイルブランドとなるきっかけとなった製品です。

ヘレナ・ルビンスタインやエスティ・ローダーといった同業者とともに、サリー・ハンセンは周囲の男性優位の世界に挑戦し、独自の方法で美容業界を再定義しようとしました。サリーは財閥や特権階級の出身ではなかったので、自分自身を、会社を、すべてを自分の力で作り上げました。

「私たちは常に自立して生きなければならない。私たち自身への評価は、他人からの評価よりも確実で重要なものなのだ」サリーハンセン, ロサンゼルスタイムズ, 1934

1947年、サリーはジャック・ニュートンと結婚しました。彼は11歳年下の男性で、サリーの名を冠したブランドのデザインを手がけたグラフィックデザイナーでした。ニューヨークでの新生活で、ミュージシャン、アーティスト、作家、ドラッグクイーンなど、よりクリエイティブで自由な発想を持つ人々と交流を深めました。

窓の外を眺め、沈む夕日を楽しむことは、心の美容である。このような小さなことが本当の幸せを運んでくる。

サリー・ハンセンは1963年12月16日、肺がんとの半年間の闘病の末、56歳で亡くなりました。

彼女の墓はハリウッドヒルズにあり、平らなプレートで小さくシンプルだったため、つい最近まで泥に埋もれてほとんど見えませんでした。

self-made beautyの偉人のささやかな安息の地。

今日、サリー・ハンセン社は世界最大の美容ブランドのひとつです。しかし、サリーの遺産はそれだけではありません。時代に反発し、自力で成功を収めた彼女のストーリーは、今でも強い影響力をもたらしています。